[FAQ]
皆さまから多く寄せられるご質問とその回答を掲載しています。
※ このページは随時更新して参ります。2024年4月25日更新
[基本情報]
- 会社の設立はいつですか?
- 当社は、2016年1月に東京都中央区にエディジーン株式会社(現 株式会社モダリス)を設立しました。
2016年4月には米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市に連結子会社EdiGENE Inc.(現 Modalis Therapeutics Inc.)を設立し、現在に至っております。
現在の米局拠点はボストン近郊のウォルサム市に移転しております。
- 社名の由来は何ですか
- 私たちの新しい創薬技術(modality)が、遺伝子治療薬を生み出す未来を目指して付けました。
- 事業内容を教えて下さい。
- 「私たちのサイエンス」および「事業情報」のページをご覧下さい。
- 取締役会は社長以外全て社外取締役で構成されているが、社長一人で執行を行うことによるリスクはどのように考えているのか。
- 当社は、森田を除いて全員が社外取締役ですが、当社のガバナンス体制は、取締役と執行を分離し、執行役員に執行を委任するような形で構成する米国型に近い体制としています。
執行役員の体制は、CEOの森田が全体を管掌、CSOの山形が研究開発全般、CFOの小林が財務及び管理全般を担当している3名体制です。さらに、その下には、各業界で経験を積んだデイレクタークラスがおり、厚い人材基盤が整っていると考えています。
しかしながら、執行体制の強化は今後の発展のために当社も重要であると考えており、今後も優秀な人材の獲得を続けたいと考えています。
(2022年4月1日)
- 米国の研究所には、どういう社員が在籍しているのか。
- 米国の研究所には現在、約20名が在籍しています。
これには研究員として研究(Research)に携わる者、開発(Development)、製造(Process Development)に携わる者が、そのほかに管理部門の者が含まれます。
研究部門人材の典型的なプロファイルはPh.D.を有してポスドクを経験した研究員と修士の学位を経たテクニシャンとなります。その他に、中途入社の製薬会社や他のバイオテック企業で遺伝子治療研究開発の経験を積んだ人材を擁しています。
(2024年4月25日)
[決算・財務関連]
- 決算発表はいつですか?
- 決算発表は四半期ごとに行なっております。「IRカレンダー」をご覧ください。
- 決算期はいつですか?
- 毎年12月31日です。
- 過去の業績はどこで確認できますか?
- 「決算短信」もしくは「有価証券報告書」をご覧ください。
- 説明会の動画配信の確認方法を教えてください。
- アナリスト向け説明会の動画配信を行っております。当社HPで公開している動画ライブラリをご覧ください。
- 業績予想に関して、開示をする予定はありますか?
- 当社の事業はパートナーとの交渉により進捗すること、ライセンスの契約一時金の事業収益によって当社の業績が大きく変動すること、新たなパートナーとの提携の可能性や新規のパイプラインの獲得の可能性等、当社の事業上の特性として現時点では業績に与える未確定な要素が多いことから、今後の見通しについては、適正かつ合理的な数値を算出することが困難であると考えており、業績予想は開示を見合わせています。
なお、今後の事業進捗を踏まえて、 合理的な開示が可能となりましたら速やかに開示いたします。
- 現時点の段階で黒字化の時期や飛躍の時期の目処はあるのか。
- 当社は業績予想を開示していないので、黒字化の時期について具体的に何年ということは回答できません。
飛躍できる時期は、現時点のパイプラインの状況を考えると2025年以降を目処と考えています。これは公表しているようにMDL-101の計画が2024年に治験申請、その後の治験開始後にそう時間がかからずに中間解析などで結果が出てくる前提で開発を行っていますが、それに伴って売上面でもライセンス契約に基づくマイルストーン収入等が見込まれると予想されるからです。
一方で、それ以前にも、他のパイプラインにおいて契約一時金やマイルストン収入等を獲得できる機会というのは十分にあると考えています。
(2024年4月25日)
- 事業収益が計上される時期はいつですか?
- 当社の主な事業収益は、共同研究開発またはライセンス契約の締結による契約一時金、各契約に基づくマイルストン収入、ライセンスのロイヤルティ収入、ライセンスのマイルストン収入によるものです。
各収入は契約の締結、または契約に定められた条件を達成したタイミングで事業収益として計上されます。そのため、当社の事業収益は定常的に毎月・毎四半期に一定額が計上されるものではありません。
- 米国金利が上昇や為替が円安に推移していることにより、どんな影響がありますか?
- 米国金利の上昇:
当社は借入金はないため金利支払い等の直接的な影響は受けておりません。
為替の円安傾向:
当社は米国マサチューセッツ州にラボを構えて研究開発を行なっているため、米ドルベースでの支払いが多いため、円安により日本円ベースでコスト増の影響を受けることになりますが、将来的な入金等をドルベースで受け取ることによって効果は相殺されると考えています。
(2022年11月7日)
- 「監査上の主要な検討事項(KAM)」の論点はなんですか?
- 「監査上の主要な検討事項(KAM)」 とは Key Audit Matters の略で、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した監査論点のことで、監査人が監査報告書内で記載するもののことです。
当期の内容は、年度末に監査人が最終的に判断することになりますので、当社から回答をすることはできませんが、昨年度の内容は、「継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価」となっており、詳細は下記を参照ください。
2024年3月27日『有価証券報告書_第8期(自2023年1月1日 至2023年12月31日)_株式会社モダリス』「独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書」 (https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04819/d5775797/b4e3/4950/9463/16ac00830e5e/S100T4QK.pdfおよびhttps://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS04819/957ffb8a/7812/46de/a9dd/947c92f70d01/S100T8AN.pdf)
(2024年4月25日)
[株式情報・株主関連]
- どこに上場していますか?
- 2020年8月3日に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2022年4月4日よりグロース市場に上場しています。
- 証券コードは何番ですか?
- 4883です。
- 配当はありますか?
- 当社は設立以来配当を実施しておらず、また、今後も多額の先行投資を行う研究開発活動を計画的に実施していくため、当面は配当を実施せず、研究開発活動の継続に備えた資金の確保を優先する方針であります。
株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来においても安定的な収益の獲得が可能であり、かつ、研究開発資金を賄うに十分な利益が確保できる場合には、将来の研究開発活動等に備えるための内部留保充実の必要性等を総合的に勘案した上で、利益配当についても検討してまいります。
- 株主優待制度はありますか?
- 現在ご用意はございません。
- 売買単位株式数は何株ですか?
- 100株です。
- 名義書換・住所変更などの手続きはどうすればよいですか?
- 株式に関する各種お手続は、お取引口座を開設されている証券会社にお申し出ください。
- 株主総会の開催日はいつですか?
- 毎年3月下旬に開催する予定です。
- IRに関する質問は、どのような方法で問合せできますか。
- IRに関する個別のお問い合わせについて、当社ではフェアディスクロージャーの観点から個別に直接のご連絡によるご回答ではなく、ウェブサイト等において情報開示を充実させ広く周知を図ることが適切と判断して下記のご対応としております。
お問い合わせは、HP上の「お問い合わせフォーム」にて受付しております。
いただいたお問い合わせについては、当社にて公表の良否を諮り、回答すべきと判断した内容のみを当社HPまたは開示情報にて公開いたします。
その他法令に基づく開示すべき情報は、適時に開示しておりますので、当社HP、IRサイト、プレスリリース及び開示書類をご確認ください。
なお、電話でお問い合わせをいただいても、お電話のお取次ぎは致しかねますので、予めご了承くださいますようお願いします。
今後とも、株主の皆様ならびに投資家の皆様への公平な情報開示の開示に一層心掛けてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願いいたします。
- IR担当を雇う予定はないのか。電話で質問に対応はしないのか。
- 当社のIRの体制は、質問は原則的にHP のみで承っております(注:電話での問い合わせには対応しておりませんので、電話でのお問合せはお断りしております。)。いただいた質問は全て確認をさせていただいておりますが、その中で対応が必要と思われるものに対しての回答はホームページや開示書類などで公表することとしています。これは、個別対応はフェア・ディスクロージャーの点で公平性の問題があり、対応が必要と判断された情報を広く公平に公表すべきという当社ポリシーに基づいています。したがって当社が個別に電話やメールなどで回答することは行っていません。また、オフィスおよび研究施設の見学の対応も行っていません。
(2022年4月1日)
- サルの試験といった個別の研究進捗など、IRはもっと多く行われませんか?
- 当社は現在、研究開発ステージで事業を行っており、臨床入り前の個別の研究状況に関するIRの機会は限られています。今後のパイプラインの進捗及び拡張によってIRの機会は増えていくと考えています。
なお、サル試験など、個別の研究状況については、公表することにより競合相手を利するなど競争上の観点から好ましくなく、長期的には株主価値の毀損に繋がることになるので、慎重に判断しています。更にライセンス交渉中である場合、前提として交渉相手にのみ研究状況の詳細を伝えることができますので、公表には自ずから制約があります。
また個別の研究状況の開示は、時として投資家に過度の期待を喚起し、株価に過剰に影響を及ぼすことが懸念されるため、当社としては投資家の皆様へ重要な影響を及ぼすと判断したものについて積極的に開示したいと考えています。
(2021年5月6日)
- ライセンスアウトの契約締結時には、適時に開示が行われますか?
それとも決算発表時になりますか?
- 当社は、法令・規則に則り、業績に大きな影響を与える契約等の重要な会社情報は、投資家へ適時、積極的に開示していきます。個別の開示の有無を申し上げることはできませんが、ライセンスアウト契約等の重要な会社情報は、適時開示される対象と考えています。
一方で、当社が開示すべき状況にないと判断した未公表の情報については、お問い合わせをいただいても一切開示することができないものとなります。
- パートナリング目標を非開示方針とした理由を教えて下さい。
- 当社は自社モデルパイプラインについて、投資情報に資すると考えパートナリング目標の意思や時期を開示しておりました。
しかしながら、パートナリングは開発状況の進捗や当社の意思だけでなく、相手方の意思や戦略に依存して行われるものであるため、当社のコントロールにはないものを開示対象とすることは投資情報に適さないと判断しました。また、当社のパートナリングの意思や期限を開示をしていくことは交渉上に良い影響を与えないこと、また実際にそのような影響がでているケースも発生しております。そのため、パートナリング目標を非開示の方針といたしました。
(2022年8月5日)
- 特許についての開示は、どのようなタイミングで行われますか?
- まず公開の対象となる特許は、当社のパイプラインに係る特許など事業にインパクトを与える特許で、かつ公開することが事業にマイナスの影響を与えないものとなります。またパートナーとの共同出願である場合にはその合意が得られたものに限定されます。
従って、全ての特許が開示の対象となるわけではありません。なお、特許情報は公的に検索可能なものも多数ありますので、ご自身で検索することが可能です。
またタイミングについて、まず特許の出願から登録に至るまでのプロセスは、原則として出願日から1年6ヶ月経過後、出願内容が一般に公開されます。(出願公開)
この段階では特許を取得したわけではなく、引き続き審査を行い、通過したものについて特許査定を受けることにより特許権が付与されます。
その後、登録料の納付を経て正式に特許として登録される流れとなっています。
したがって、一般的に開示は特許査定を受けた後に行うことが多く、当社も同様の考え方でおります。
(2022年2月14日掲載、2022年9月1日更新)
- 開発計画の修正を開示していますが、今後も開発計画に修正がある毎にプレスリリースはされますか?
- 開発計画に著しい変更があった場合には、プレスリリース等で開示を行う方針です。
(2022年9月15日)
[パイプライン]
- MDL-101のライセンスアウトの計画はどうなっていますか?
- 引き続き有力なパートナー候補との対話は続けておりますが、臨床試験に向けた開発を計画通りに進めていくことが結果的にはプログラム及び技術への付加価値を高めることとなり、より良い条件で提携の実現に繋がると考えて事業を進めております。
提携は当社のみならず相手側の意思やタイミングによって決定されるものであるため、当社のみの努力によって実現するものではありません。一方で、患者さんや医師との対話においてあらためて認識しましたが、LAMA2-CMDという病気は患者様の生命に関わる猶予のない病気であり、当社の開発する薬が希望である現状を踏まえると、当社のできることとしては最速で開発を進め、高いコミットメントを持って一緒に開発を進められるパートナーと然るべき時期に然るべき条件で合意をすることであると考えます。
(2024年4月25日)
- AAVを変更した理由を教えてください。また改良型のAAVの優位性についてわかりやすく教えてください。
- 2010年代からの遺伝子治療が成果を上げてきた背景には、アデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターという比較的安全性の高いとされるベクターによるところが大きかったと考えられています。AAVは、投与後に体内で自己複製をしたり、染色体に挿入されるリスクが低いとされ、前世代のものに比べて大きな安全性上のメリットがありました。このAAVを用いた初期の遺伝子治療は、眼科領域など局所投与で治療を行うものを中心に開発がなされてきましたが、その成果が著しかったために、全身投与を必要とする筋肉疾患などへとその対象が広がってきました。
現在、筋ジストロフィーの1種であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬の1つが条件付き承認に至っておりますが、臨床試験の結果などから大量の全身投与に伴う各種の問題が議論されてきた経緯があります。これらの問題を回避するためにアカデミアや製薬業界においては、筋肉などの対象組織への指向性を高めた改良型のAAVベクターが開発されており、近年開発されたいくつかの改良型ベクターは、指向性などの特性が従来型に比べて10倍を超えて改善されたものが確認されるようになってきました。これらは、肝臓などのオフターゲット臓器における毒性の低減や必要投与量の低下に伴う製造コストの低減などにおいて破壊的なインパクトがあると考えられます。
このような状況下では、現行の技術で開発を継続することの意義が大きく失われ、より安全性の高い新技術がある以上、懸念を有する旧技術に基づく開発品を患者様へ投与することの倫理的な問題が生じると当社は考えるにいたりました。新技術に基づく開発品の方が、薬効、安全性、製造コスト、そして成功確率などの面においてより優れていると考えており、短期的には開発の一時的な延期を伴いますが、⻑期的にはプロダクトや企業価値の拡大によりプラスの影響をあたえると当社は判断しております。
(2024年4月25日)
- MDL-101のAAVを修正することにより、今までの研究開発は無駄になりますか?
- AAVに搭載するCRISPR-GNDM®分子自体には問題はなく、これまでと基本的に同じ分子になりますので、これまで取得した薬効や安全性のデータなどは外挿性を有することになります。
製造については、まだGMP(GoodManufacturingPractice)製造を開始していない段階になりますので、一部のプロセス開発は新型分子に合わせてやり直しをすることになりますが、最小限の後戻りで済むと考えております。
(2022年9月15日)
- MDL-101のAAVを修正することにより、MDL-101のライセンスアウトに影響はありますか?
- パートナリングのスケジュールに影響を与える可能性はあるかもしれませんが、一方で改良型MDL-101の構成の方がパートナーにより強い支持を得られると考えますので、結果的にはポジティブに働くと考えています。
(2022年9月15日)
- 今後パイプラインが増減する見通しはありますか?
- 現在協業の可能性を模索しているものと、自社でインキュベーション中のものを含めて複数の新規パイプライン候補を有しており、 これらは適切な段階でパイプラインとして昇格させていくことを計画しています。
また既存のパイプラインの中でも、MDL-204のように研究開発を継続させる可能性が認められなくなったと考えるものについては速やかに中止の判断を行って参ります。
このような適切な改廃の判断をパイプライン毎に行うことは、当社を含めたいずれの製薬会社やバイオテック企業でも行われているポートフォリオに対する通常の判断であり、適切な新陳代謝を行うことでパイプラインの規模と質の適正化を行うことは合理的なことと考えています。
また、特に研究段階など早期に判断をすることは、コストのかかる開発段階の成功確率を高める上で不可欠であると考えています。
(2022年1月7日)
[事業・研究開発]
- 貴社の事業は研究開発等に投資をすればそれだけ赤字が膨らむ可能性があるビジネスだと理解していますが、今後より積極的な研究開発等に向かう可能性はありますか?
- 選択肢の一つとして、大きな研究開発の投資をした方がより多く果実を得られるのではないかとも考えています。一方で、当社は財政規律が大事だと考えています。
この財政規律を実現させるため、協業モデルパイプラインの利点である早期の収益獲得、自社モデルパイプラインの利点である上市後の収益など将来の大きなアップサイドの獲得、という両者の特徴を組み合わせた「ハイブリッドモデル」を目指しています。
しかしながら、当社が財政規律を考慮しながらも価値を生み出すと判断した場合には積極的に投資を行っていきたいとも考えています。
- 対象の患者数や市場規模と収益の関係を教えて下さい。
- 希少疾患の市場規模は多くの場合参照可能な既存薬がないことから、患者数 x 薬価で推定することになりますが、薬価はその効果などに依存して大きくブレることから市場規模の算定を難しくしています。
また患者数と逆相関して薬価が大きくなる傾向があり、従って患者数と市場規模は必ずしも一定の相関を持たないと考えられています。
(2022年5月9日)
- 希少疾患の患者数は少ないため生産規模も小さいと思いますが、生産規模や生産方法のイメージはどのようなものですか?
- 希少疾患の製薬は、非常に小さな設備で生産されるとイメージされると思いますが、筋肉疾患など全身投与を行う遺伝子治療薬の場合、1,000Lなどの大規模製造でも確保できる投与数は限定的で大量生産はできません。
また、GMPなどの基準に適合したレベルで製造を早期に立ち上げるためには、関連したノウハウを有するCDMOとの提携が合理的であると考えています。
なお、臨床PoCを確立して十分にリスクが低減された後に、後期臨床試験あるいは承認後の販売を見据える段階になれば、自社製造も視野にいれられると考えています。
(2021年11月5日)
- 当社のパイプラインの適用疾患が筋肉系や中枢神経系が多い理由は何ですか?ガンを対象とすることはできますか?
- 現在の遺伝子疾患を対象とした遺伝子治療のための送達ツールとしては AAV(アデノ随伴ウィルス)ベクターが主流となっています。これは送達効率及び安全性の面で優位性があるからですが、一方で、安全性の裏返しとして、送達された細胞のなかでウィルスが増殖しないようになっているので、細胞が分裂する度に効果は減衰することになります。従って、増殖の活発な細胞においては効果が持続しないことになります。
このために、当社技術に関わらず、AAV を用いた遺伝子治療のターゲットとなり得る疾患は、比較的細胞増殖が活発ではない臓器や組織に限定されることになり、その結果、筋肉であるとか、中枢神経といった細胞がターゲットになることが多く、逆に血液細胞やガン細胞のようなものは回避されることになります。
また、ガン細胞の場合には100%に近い細胞にベクターが送達されなければ、送達されなかったガン細胞から再び増殖が起こることになりますので、効果が一時的になってしまいます。
一部にガンをターゲットとした遺伝子治療もありますが、その場合にはガンそのものをターゲットにするのではなく、ガンを攻撃する細胞に遺伝子導入を行い、殺ガン細胞活性を高めるような効果を狙っています。
(2022年11月7日)
- パートナリングの方針について教えてほしい。
- 一般の商品の販売と異なり、パートナリングは販売行為では無く、短期に得られるライセンス料と長期に得られる将来の商品売上げに伴う利益をスワップする等価交換契約であるので、財務的な余裕がある状態においては、戦略的自由度を考えればしないことも選択肢の一つではあると考えます。
資本が許すのであれば、自社で調達した資金で開発する方がスピードなどの観点で好ましいのですが、資金が自社で調達ができない場合には、パートナリングなどによって外部の資金を充当して開発を継続することが必要になる場合もあります。
当社をとりまく資金環境のことを考えれば、パートナリングは必要な選択肢の一つではありますが、一方であくまでも相手があって初めて成立する取引であるので、開発の進捗や、成果にかかわらず時期を予期するのは難しいと考えます。
また、パートナーリングについてのゴールを明確にすることは、投資家との対話の観点から開示を行っていますが、ゴール時期の明記は交渉相手に当社の交渉締結目標時期を伝えることになり、交渉戦略上好ましくないのも事実です。
MDL-101をはじめとしてパートナリングが実現しておらず不安に思われる向きもあるとは思いますが、価値増大にもっとも重要な研究開発は進捗しており、これに興味を持っている企業とのディスカッションは継続されているので、当社は成立は時間の問題であると考えています。
(2024年4月25日)
- 製造は外部でおこなうのでしょうか?
- MDL-101をはじめとしたプロダクトの臨床に向けた製造を行うために、当社において小規模製造およびプロセス開発を行いますが、一方で大規模製造についてはキャパシティ等の理由から外部のCDMOへの委託を行う必要があります。なお、MDL-101については既にプロセス開発は完了しており、大規模製造に向けた製造方法が確立されています。
(2024年4月25日)
- AAVとは、どのようなものですか?また、AAVとCRISPR-GNDM®分子とはどのような関係ですか?
- 当社の治療薬の投与方法は、当社独自のCRISPR-GNDM®分子をアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクターに搭載して体内の目的の細胞に送り込むことを想定しています。
つまり、AAVとはCRISPR-GNDM®分子を細胞に届ける送達ツールのことです。
(2022年9月15日)
- 学会報告などの方針、計画はありますか?
- ASGCT(米国遺伝子細胞治療学会)他、サイエンス、ビジネス向けの学会カンファレンスで随時発表を行っていく予定です。また論文発表なども今後計画しています。
(2024年4月25日)
- これまでの発表の反応はどうだったでしょうか?
- 2022年のASGCTは当社にとって初めて学術会議で当社技術及び開発品目を発表する機会となったわけですが、多くの注目を集めたと考えています。これは、遺伝子治療やゲノム編集という急速に発展する分野の中でも、当社のアプローチが極めて新しくユニークであること、また、エピゲノム編集や遺伝子制御を標榜する新しい企業が登場していることと整合しています。また2023年にもLate break session(一般締め切り後に応募があったものの中で特に優れたものに与えられる限定的な発表機会)に選ばれ、エピゲノム編集治療薬として初めて示されたサルにおける有効性は大きな反響を受けました。
結果として、複数の提携に関する問い合わせを受けることとなっており、今後の事業展開に大いにポジティブに働いたと考えています。
(2024年4月25日)
- FDAとの間でINTERACT、PreINDミーティングが行われていますが、どのような結果であったのでしょうか?
- INitial Targeted Engagement for Regulatory Advice on CBER producTs (INTERACT)ミーティングは pre-IND ステージにあるプロダクトに対して米国 FDA が事前の非公式なコンサルテーションを行う会議体で、先進的な研究開発品目の開発に付随する固有の課題に対して FDA がコンサルテーションを行う機会です。
またPreINDミーティングは、INDに必要な要件が何であるかを、スポンサー(開発企業など)が計画を共有してFDAとの間で確認する機会です。
当社はその2回の対話の機会において、当社の前臨床データ、今後のGLP試験、GMP製造の計画、臨床試験の計画をFDAに共有した上で、その計画が妥当であるかどうかの確認を行いました。その結果、当社の計画は概ね認められ、軽微な修正のみで問題ないことを確認することができました。
(2024年4月25日)
- ユートロフィン特許はどのような内容の特許ですか?
- 本特許はGNDM技術を使って DMD(デュシェンヌ型筋ジストロフィー) 治療を行う治療薬についての特許になります。
DMDの原因遺伝子で、患者さんにおいては変異のあるDystrophin遺伝子に代わって幼若型のUtrophin遺伝子を発現上昇させることによってDystrophinの機能を補完して治療を行う仕組みで治療を行います。
Dystrophin遺伝子のcDNAは14kbpと通常のAAVベクターには搭載できない大型遺伝子で、GNDMの利点を生かした対象疾患であると考えています。
なお、どの特許がどのプログラムに対応するかはコラボレーションプログラムについては開示をしておりません。
(2022年5月9日)
- ユートロフィン特許について米国で特許査定されましたが、どのような影響がありますか?
- 日本に続いて米国で特許査定となったということは、製品が当該国で本特許にもとづく医薬品が上市された際に特許によって保護がなされるということになります。したがって、医薬品の市場として約半分を占めると考えられる米国での特許査定は大きな意義があると考えます。
当社は引き続きパートナーと共に、残りの対象国においても特許の成立を目指す方針です。
(2022年8月5日)
- 第2四半期中においてユートロフィン特許について⽶国で特許査定されましたが、実際に登録されたのでしょうか︖
- はい、2022年10月に特許が発効されています。
特許審査の流れとしましては、一般的に特許査定が行われれば、登録料を納付することで特許登録は行われます。そのため、特許査定の IR 等があれば、時間の経過で特許登録がされるとご認識していただければと思います。
(2022年11月7日)
- エピゲノム編集を標榜する会社が近年複数設立されていますが、競合環境に影響がありますか?
- エピゲノム編集が有効な創薬技術として広く認識されるようになったことは良いことであると考えています。
なお、当社は知財によるプロテクションに加えて、創業以来8年間の経験に基づくノウハウの蓄積によって、リーディングポジションを引き続き維持していけると考えています。
(2024年4月25日)
- FDAのCTGTAC*が昨年9月に開催され、遺伝子治療に対する議論が成されていますが、その影響はありますか?
- 2021年9月2-3日にFDA主催で遺伝子・細胞治療に関するコミッティが開催されました。
この会議は、遺伝子治療製剤の投与後に動物やヒトで観察された、(1)肝障害、(2) 血栓性微小血管症(TMA)、(3)後根神経節ニューロン喪失、(4)脳MRI異常、(5) AA Vベクターの集積とがん原性などの毒性、を受けて開催されたもので、遺伝子治療製 品の投与を受ける患者のリスクを最小化するための戦略について提言を行うことが目的であったと当社は理解しています。
ほとんどの毒性は当社にとって目新しいものではなく、一定の対策も立てているため、開発指針やスケジュールには大きな影響はありませんが、当局の問題意識を理解した上で適切に対応していく予定です。
なお、本会議を含め当社では必要な規制当局のガイダンス、報告、会議および遺伝子治療に係る最新の論文などのフォローはこれまでもかなり広範かつタイムリーに行っており、当社の戦略に随時反映されるようにしております。
*CTGTAC: Cellular, Tissue and Gene Therapies Advisory Committee(細胞/組織/遺伝子治療諮問委員会)
(2022年2月14日)
- 米国における特許インターフェアレンスの手続きにおいて、Broad研に有利な裁定となりましたが、当社事業にどのような影響をあたえますか?
- 米国特許庁(USPTO)において Broad 研究所(Broad)とカリフォルニア大学、 ウィーン大学およびエマニュエル・シャルパンティエ博士(総じてCVC) との間で米国における先発明を争うインターフェアレンス(インターフェアレンス番号106,115号 )が行われていましたが、2022年2月28日に米国特許商標庁審判部(PTAB)は本件インターフェアランスについても事実上の干渉はないとする Broad 側の権利を認める判決を下しました。これは先に同じくインターフェアレンスの手続きが行われていた106,048号 同様に CVC 側の主張を退けた結果となります。
これはBroadが出願したヒトを含む真核生物におけるゲノム編集技術に関する特許が米国において有効であると示したことになります。
結果、我々がEditas社とのライセンス契約を通じてその実施権を有するCRISPR基本特許が当社の事業領域において引き続き有効であると示されたこととなり、当社事業を引き続き担保することになると考えられます。
(2022年5月9日)
- FDAのゲノム編集に関するドラフトガイダンスが2022年3月に出されていますが、その影響はありますか?
- 本ドラフトガイダンスは、いくつかのゲノム編集治療薬の開発品目が臨床段階に進んだことを受けて、そこで分かった知見などを反映させて FDA が主として前臨床段階にあるプロダクトを開発する企業に対して示したものになります。当社が開発する製品も広義にはこの範疇に入ると考えられますが、このような形で治験開始までのハードルが明示されることは、我々を含む開発企業にとってはより開発をし易くする方向であると考えております。
なお当社は、今回のガイドラインで当社が想定していなかったような新しいハードルは特に見当たらなかったと現時点で分析しています。
参照
https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/human-gene-therapy-products-incorporating-human-genome-editing
(2022年5月9日)
[その他]
- 2022年6月7日に閣議決定された岸田内閣の骨太方針に「遺伝子治療」が明記されていますが、どんな影響がありますか?
- 遺伝子治療が現内閣の考える重点領域の1つとして取り上げられたということですが、予算措置および法整備などはこれに基づいて今後なされていくことと当社は理解しており、当該決定の影響は現時点ではまだ不明です。
しかしながら、当社が事業領域とする分野が国益に関わり、インセンティブを付与していくべき重点領域とされたということは、当社事業に追い風にこそなれ、逆風になるものではないと考えています。願わくばその中でも適切な選別が行われ、予算配分が行われることを望んでおります。
参考:経済財政運営と改革の基本方針 2022 について
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf
(2022年8月5日)
- お問い合わせ先はどこですか?
- こちらへお問い合わせください。
- モダリスのTシャツなどのノベルティは販売していますか?
- 社内利用に限定しておりますので非売品となっております。
[第8回株主総会(2024年3月26日)質疑応答]
- 資金状況について、手持ちの資金と計画している支出の間でバランスは取れるのか。
- 開発と並行してファイナンスを実行中であり、手持ちの資金に調達を合わせて事業継続は可能だと考えています。
- 現在の株価についてどう考えているのか。
- 株価についてはご心配を掛けているが、会社としては開発を早く進めることに注力していきたいと考えています。
- 日本法人で従業員3名となっているが、役割は何か。
- 日本法人は財務、経理、知財、開示等の上場維持に必要な管理業務を担当しています。事業の主体は完全子会社の米国法人にあり、約30名が在籍しています。
(4/12アナウンスのとおり、その後減員して約20名になっています。)
- 事業開発の体制について知りたい。
- 米国ボストンを拠点に専任者1名、米国西海岸にアドバイザー1名、加えて社外取締役で経験の深いジョセフ・マクラッケンと森田で事業開発をサポートしています。企業との提携についての提案・交渉の他、学会などにおいて成果を報告することでビジビリティを高める努力をしています。
- 過去のウイルスベクターから改変型ベクターに切替を行なったということだが、どのくらい改善できたのか。
- 改変することによって筋肉への送達効率は10〜数十倍向上しています。
- 対象疾患はなぜ筋肉なのか。もっと小さい部位、例えば目などは検討しなかったのか。
- 効果があるかという観点では、より多くの疾患に適用可能であることを確認しています。他のモダリティーとの競合状態及び技術的に最も特性を活かせる領域ということで、MDL-101の対象疾患を含めて筋肉にフォーカスしています。
- 筋ジストロフィーはヒトではどこまで回復するか。
- 理論的な可能性は議論できますが、最終的には臨床試験を実施するまで分からないと考えています。ただ、患者様にお伺いすると、僅かな回復でも切望されているという声を聞きます。我々はそれ以上を目指せると考えて努力しています。
- 筋肉疾患以外には可能性はないのか。
- 一般的な新技術の推移として、何でもできるという大きな期待値が当初あったところから知識や経験の蓄積により、より特性の活かせる領域に絞り込まれていくのは成熟の過程として自然であると考えています。当社モダリティのみならず、遺伝子治療全体にそうした推移があった中で、リソースの制約もあり、勝機の強い領域としての絞り込みをしています。
- 上市は自社ですべてやるのか。
- 選択肢の一つではあるが、そういう考え方に限定はしていません。
- パートナリングの状況について知りたい。
- 複数の会社とディスカッションしており、当社の事業が現在の企業価値を遙かに超える魅力を持っているという話を多くもらっています。一方で、以前は齧歯類のデータでパートナリングができていたものが、大型動物のデータとの間に乖離があることを業界として経験したことで、現在は霊長類におけるデータが必要となり、ハードルが上がってきていると感じています。
- アメリカの従業員の処遇にいついて知りたい。
- 当社の報酬は米国のバイオテックとしては標準的だが、製薬会社に比べると劣るレべルではあります。それでも離職率は低く、これだけのリテンション率が維持できているのは、弊社の技術やプロダクトに魅力があるからだと自負しています。
[開示・PR情報に関するご質問]
- 今回の人員削減の目的は、MDL-101の臨床試験開始のために、当面の経営資源を集中するためとのことだが、2023年12月14日に開示された「JCRファーマ株式会社との共同研究契約締結のお知らせ」では、CNS領域(MDL-101とは異なる領域)における新しい遺伝子治療の確立を目指すこととされている。JCRファーマ社との共同研究に与える影響について教えてほしい。
また、MDL-101以外のパイプラインについて変更する発表はされていないが、人員が削減された中で他のパイプラインの開発はどうなるのか教えてほしい。
- JCR社との間の共同研究は引き続き継続される予定です。
その他のパイプラインも技術的な問題が生じた訳ではないので、基礎的な検討や共同研究の模索は継続されます。